3度目のFirst Kiss

会社に戻ると、私は2時からの打ち合わせに向けて、資料を人数分コピーして会議室に運んだ。
それから、ペットボトルのお茶を用意する。

会議室の準備が出来た頃、梶さんが部屋に入って来て、何も言わずに資料にパラパラと目を通す。

一応、梶さんには資料を作り終わった時点で確認の意味を含め、メールをしておいた。
特に訂正の返信もなかったから、そのままコピーを用意したけど、何かあったかな。

「あの、資料に不備とかありましたか?それなら、今すぐ修正しますけど。」

まだ、会議までには少し時間がある。

「いや、広瀬の作った資料は、いつもながら完璧だったよ。俺の出る幕なんてない程にね。ありがとう。」

なんだか最近、褒められることが多くて調子が狂う。
今週の雑誌の占いはそんなに良くなかったのに。

「ありがとうございます。尊敬する上司に資料を褒められて、嬉しいです。でも、これはただ仕事に慣れて来たってことですよ。私も移動して1年になりますから。」

打ち合わせはスムーズに進んで、今後のスケジュールも見えて来た。後はそのスケジュールに合わせて、仕事を進めていくだけだ。
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