3度目のFirst Kiss
私は、一息つこうと自販機のある休憩室に向かった。数人の社員が雑談していたり、かなり遅めの昼食を取っていたりしていた。
私は自販機でホットコーヒーを買うと、端に置いてある小さなソファーに座った。
今日はまだ、生田君の姿を見ていないな。
そんなことを考えていると、急に生田君が目の前に現れた。私は思わずコーヒーを溢しそうになる。
この人は、人の心を読めるのだろうか。いつも私の心の隙間を見つけて、有り得ないタイミングで現れる。
「お疲れ様です。休憩ですか?俺もご一緒してもいいですか?」
生田君は、私の返事を聞く前に、私の前のソファーに座った。
「お疲れ様です。朝から外回り?大変だね。」
こんな所を女子社員に見られると、やっかみの対象になるのだけれど、無視する訳にもいかない。
「ふーん、朝からいないことに広瀬さんは気付いてくれてたんですね。」
「いや、別にそうじゃないけど。カバン持ったままだしそうかなと思っただけ。」
私は嘘をついた。
「明後日から展示会のイベントがあって、週末まで出張なんですよ。だから、その打ち合わせと、今日中に他の片付けられる仕事を済ませて来ました。明日は、展示会の最終準備で忙しくなりそうなんで。」