3度目のFirst Kiss
営業部に戻ると奈緒子の上司になる3課のリーダーである北村さんは、デスクで電話をしていた。
話し込んでいる様子だったので、先に生田君に報告をすることにした。

生田君のデスクに向かう時、田崎君の前を通り過ぎる。明らかに苦々しい視線を感じたが、今はそんな事を気にしてる場合ではない。

生田君も忙しい様で、パソコンに集中して何か資料を作ってる様だ。

「生田君、仕事中にごめんなさい。実は、山根さんが体調を崩して、今、医務室で休んでるの。熱も38度を超えていて、かなりしんどそうなんだけど。」

「えっ、山根さん、大丈夫ですか?僕がかなり無理させちゃったかな。土日も出勤してくれてたし。」

「奈緒子、週末も休んでなかったんだ。」

私にも経験があるけど休みなく働くと、やっぱり、
どこかに無理が来る。こうゆう時に、男性との体力差を感じてしまう。

「山根さんには、申し訳ないことをしてしまったな。」

生田君が奈緒子の体調を心配して、責任を感じていいるのが分かる。
それに奈緒子がいないと、生田君も相当困るはずだ。

「取り敢えず、奈緒子の後のことは心配しないで。私がちゃんと責任を持って、家まで送るから。それに医務室の野村さんも少し休んでていいって言ってくれて、奈緒子に付いていてくれてるし。」

「ありがとうございます。助かります。」

私は、彼女の荷物を整理しようとデスクの前に立った。

奈緒子は、最初、トイレに行くだけのつもりだったから、デスクの上には、作りかけの準備物が広がっていた。
これは、私が部署変更になるまで、担当していたクライアントの展示会のイベントだった。

この展示会は、うちの会社の中でも大きなもので、その分、準備も大変な筈だ。

電話を終わらせた北村さんに、早速、生田君が奈緒子の状況を報告しに行っている。

話が終わると、二人が奈緒子のデスクに近付いて来た。

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