3度目のFirst Kiss
「野村さん、ありがとうございました。おかげで助かりました。山根さんの体調は、どうですか?」

「よっぽど、疲れてたのね。今は、ぐっすり眠っているわ。熱も少し下がったみたい。寝息が落ち着いて来たから。」

「連れて帰っても、大丈夫でしょうか?」

「そうね、但し、明日は病院へ行って、2.3日はゆっくり休んだ方がいいと思うわよ。山根さんもあなたも仕事は程々にしないとね。」

「ありがとうございます。でも、この年齢になると、無駄に仕事が増えるんですよね。しかも、それが嫌じゃないのが、困ったところです。」

私は、奈緒子が眠っているベッドのカーテンをそっと開けた。
彼女は、規則正しい寝息を立てて眠っている。

「奈緒子、大丈夫?起きられる?」

彼女の肩を軽くトントンとしながら、声を掛けてみる。
奈緒子はゆっくりと目を覚まして、天井を見上ていたけど、少し、時間が経つと、だんだんと意識もはっきりして来たみたいだ。

「私、眠ってたの?今、何時?仕事残ってるのに。」

もう、仕事の心配をしてる。

「大丈夫だよ。1課のチームのみんなと私もちょっと手伝って、ちゃんと仕事は進んでるから。それより、奈緒子の体の方が心配だよ。」

奈緒子はしょんぼりしている。これも彼女の責任感の強さからくるものなんだろう。

「生田君が、奈緒子に無理をさせ過ぎたって、謝ってたよ。だから、ゆっくり休んで欲しいって。」

「結局、みんなに迷惑かけちゃったな。」

「そんなことより、今日は帰って、ゆっくり休もうよ。奈緒子の荷物も持って来たし、私が家まで送るから。」

「今日は素直に従います。彩華先輩、ありがとうございます。」

私達が、帰る準備をしている間に、野村さんがタクシーを呼んでくれていた。
< 49 / 129 >

この作品をシェア

pagetop