3度目のFirst Kiss
「生田ならさっき、電話を持って外に行きました
けど。」

生田君の隣の席の人が、皆に報告する。

「彼女に電話か？他の女にキスしといてよくやるよ。」

「仕事の話かもしれないじゃないですか。」

若い営業アシスタントの女性が、被せる様にフォローする。多分、「彼女」と言う言葉に反応したんだろう。

生田君には、大学の後輩の可愛い彼女がいると専らの噂だ。2人が一緒に仲良さそうに歩いてるのを見たという目撃情報もあるくらいだ。だから、女性社員がどんなに誘ってもなびかないのだと。

「まぁ、生田なら、可愛い彼女がいてもおかしくないよな。って言うか、なのに、あいつはこんな所で浮気したのか？許せないな。」

私は、氷が溶けてぬるくなったウーロン茶を飲んでいた。これを飲み終わったら、そっと帰ろうと思っていた矢先の騒ぎだった。

今は後悔しかない。一刻も早く、この場から立ち去れば良かった。

だって、生田君がキスをした相手は、『私』だったから。
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