3度目のFirst Kiss
微妙な距離感
矢沢さんとの電話を切ると、今度は生田君の社用の
携帯に電話をする。
私は、生田君のプライベートの連絡先を知らない。
私と生田君とは、社用携帯で事足りてしまう程度の関係なんだ。
友達の彼氏の連絡先は知ってるのに。
「トゥ・・」
1回目の呼び出し音が鳴る前に、生田君が電話に出た。
あまりの早さにびっくりする。
「もしもし、広瀬さん、山根さんの体調はどうですか?」
「うん、今は、大分落ち着いて、大丈夫だと思う。家に帰って来て、ベットで眠っているの。連絡遅くなってごめんね。」
「そっか、良かった。広瀬さんは、今、どこにいるんですか?山根さんと一緒ですか?」
「うん、私は奈緒子の家だよ。今、奈緒子の彼氏がこっちに向かってるから、それまではここにいるつもり。あっ、それから、明日、奈緒子は休んでも大丈夫かな?医務室の野村さんには、2.3日はゆっくり休んだ方がいいって言われたけど。」
「もちろん、山根さんには、明日は休んでもらうつもりです。出張も出来れば、休んでもらおうかと思ってます。」
奈緒子が展示会に行かないとなると、それこそ、生田君の負担は尋常ではない。
北村さんが、代わりに同行とかするのかな。
「山根さんの休みの件は僕から、北村さんに伝えておきます。だから、山根さんには、ゆっくり休むように伝えて下さい。ところで、広瀬さんは、山根さんの家から、どうやって帰るんですか?」
「そんなのどうにでもなるよ。まだ、電車もあるし。多分、終電には間に合うから。」
「じゃあ、僕、もう直ぐ会社を出れるので、社用車ですけど、迎えに行きますよ。」
「いいよ、そんな事してもらわなくても。それより、生田君の方が疲れてるんだから、少しでも早く帰って、休んだ方がいいよ。その心遣いだけで十分です。ありがとう。」
私は生田君の提案を丁重に断った。
「いや、それじゃ、僕の気が済みません。僕の我儘だと思って、迎えに行かせてください。僕、山根さんの住所知ってますから、着いたら広瀬さんがいないっていうのだけはやめて下さいね。」
どうやら、生田君は本気みたいだ。
私は、素直にその申し出を受け入れた。
「ありがとう、じゃあ、待ってます。でも、急がないで、安全運転でお願いします。」
電話を切ると、心がじんわりと温かかなるのが分かった。誰かを待つことが、こんなに嬉しいのはいつ以来だろう。
携帯に電話をする。
私は、生田君のプライベートの連絡先を知らない。
私と生田君とは、社用携帯で事足りてしまう程度の関係なんだ。
友達の彼氏の連絡先は知ってるのに。
「トゥ・・」
1回目の呼び出し音が鳴る前に、生田君が電話に出た。
あまりの早さにびっくりする。
「もしもし、広瀬さん、山根さんの体調はどうですか?」
「うん、今は、大分落ち着いて、大丈夫だと思う。家に帰って来て、ベットで眠っているの。連絡遅くなってごめんね。」
「そっか、良かった。広瀬さんは、今、どこにいるんですか?山根さんと一緒ですか?」
「うん、私は奈緒子の家だよ。今、奈緒子の彼氏がこっちに向かってるから、それまではここにいるつもり。あっ、それから、明日、奈緒子は休んでも大丈夫かな?医務室の野村さんには、2.3日はゆっくり休んだ方がいいって言われたけど。」
「もちろん、山根さんには、明日は休んでもらうつもりです。出張も出来れば、休んでもらおうかと思ってます。」
奈緒子が展示会に行かないとなると、それこそ、生田君の負担は尋常ではない。
北村さんが、代わりに同行とかするのかな。
「山根さんの休みの件は僕から、北村さんに伝えておきます。だから、山根さんには、ゆっくり休むように伝えて下さい。ところで、広瀬さんは、山根さんの家から、どうやって帰るんですか?」
「そんなのどうにでもなるよ。まだ、電車もあるし。多分、終電には間に合うから。」
「じゃあ、僕、もう直ぐ会社を出れるので、社用車ですけど、迎えに行きますよ。」
「いいよ、そんな事してもらわなくても。それより、生田君の方が疲れてるんだから、少しでも早く帰って、休んだ方がいいよ。その心遣いだけで十分です。ありがとう。」
私は生田君の提案を丁重に断った。
「いや、それじゃ、僕の気が済みません。僕の我儘だと思って、迎えに行かせてください。僕、山根さんの住所知ってますから、着いたら広瀬さんがいないっていうのだけはやめて下さいね。」
どうやら、生田君は本気みたいだ。
私は、素直にその申し出を受け入れた。
「ありがとう、じゃあ、待ってます。でも、急がないで、安全運転でお願いします。」
電話を切ると、心がじんわりと温かかなるのが分かった。誰かを待つことが、こんなに嬉しいのはいつ以来だろう。