3度目のFirst Kiss
「部長、頭を上げてください。これじゃあ、私が分からずやみたいじゃないですか。ただ、広瀬の意見も聞いてください。一番、負担になってしまうのは、広瀬なんですから。」

今度は、部長は私の方に向き直り、今にも、頭を下げそうな勢いだ。

「私は、大丈夫です。梶さんにはご迷惑をお掛けするかもしれませんが、私で役に立つなら、展示会には同行させて下さい。今まで、生田さんや川口さん、山根さんが積み上げてきたものを無駄にはしたくないです。」

「ありがとう。」

部長はホッとした様子で、椅子に深く触り直すと、ゆっくりとお茶を飲んだ。

「では、これで展示会については、進めていきましょう。山根さんには安心して、休んでもらう様に、私から連絡しておきます。」

北村さんは、場違いに一人、晴れ晴れとした顔をしている。
おめでたい人だ。

ミーティングも終わり、私達はそれぞれのデスクに戻った。
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