3度目のFirst Kiss
川口さんは、担当の仕事が終わったので、明日に備えて帰ってもらうことになった。

今の彼女なら、本当は、生田君の手伝いをもっとしていたいのかもしれない。彼女が後ろ髪を引かれながら、帰る準備をしていると、生田君が声をかける。

「今日は、お疲れ様でした。ありがとう。明日から、よろしく。」

川口さんの表情が一気に明るくなった。

「はい、ご迷惑をおかけしない様に、頑張りますのでよろしくお願いします！」


川口さんが帰った後、生田君は、次はすまなさそうな顔で私を見た。

「広瀬さん、すみません。広瀬さんにも今日は早く帰って欲しかったんですけど、実は変更がありまして。」

生田君の帰社が予定より遅れていた時から、変更があることは予想していたので、それは想定内だった。

「大丈夫だよ。最初からそのつもりだったから。では、仕事を始めますか。変更点をメールで送ってもらえますか？」　早速、生田君からメールが送られて来た。

変更があると、当然、前日の設営方法や当日のスタッフの動きも変わって来る。
それをマニュアルに反映させなければならない。

マニュアルは、当日の台本の様なものなので、
間違いはトラブルの元になってしまうから、頭の中でシュミレーションをしながら、何度もチェックをする。
生田君と奈緒子の2人だから、こんなに大きな展示会の準備が出来たんだろうな。

２人の仕事には敵わないと、二人の作成した今までの資料や書類を確認して思う。

奈緒子には、矢沢さんという素敵な彼氏がいるけれど、もし、彼女がフリーだったら、2人の距離が違っていたかもしれない。
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