3度目のFirst Kiss
私は、そっと立ち上がり、出口に向かった。

こんな時に動いたら、普通ならみんなの注目を浴びそうなものだけど、こういう時、誰も私には目も向けない。
彼らの中で、私はこんな話に登場するはずのない
部外者だと暗黙の了解が出来ているからだ。

私自身もそう思っていた。

それでも、私は緊張で身体が固まり、動きがぎこちなくなる。心臓の音が周りにも聞こえてしまうんじゃないかとすら、不安になる。

誰も気にしていないのに。

とりあえずトイレに向かった。
今はただ一人になれる場所に向かう。
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