3度目のFirst Kiss
 私の住んでいる一人暮らしのマンションは、1DKのよくある部屋で、天井もただ白いだけだ。

それでも、何かを考える時やボッーとする時は、天井を見上げるのが、癖になっている。

奈緒子が話してた生田君のことや生田君の言動を
信じていいんだろうか。

信じたい気持ちと、信じてまた裏切られて傷付くかもしれない不安が、交差して、どちらにも行き着かない。

3年前は、心の傷は、時が解決してくれると思っていたけど、最近、年齢を重ねる度に、恋愛に対して臆病になっていくと知った。

私は天井から目線を外し、前を見て頭を振った。
まずは、明日からの準備をしよう。
勢いを付けて、ソファーから立ち上がった。

出張の準備は今まで何度もしているので、始めてしまえば、すぐに終わる。準備する物はもう決まっているから。
それなのに今回は、いつもの携帯用の化粧水ではなく、お気に入りのものをバックに閉まった。
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