恋はたい焼き戦争


「鈴か、おはよう。今日は少し遅かったのだな?」





階段を上った先の部屋の扉を開けると、


黒髪に黒いスクエア眼鏡。

赤と紺のチェック柄マフラーに、私と同じ学校の男子制服。





「まーくん!おはようー」





喋り方や恰好、眼鏡を上げる仕草までもが彼の「真面目さ」を表している。


名前は高山 誠(たかやま まこと)。


彼とは昔から家族ぐるみで仲がいい。

…と言ってもまーくんの家は普通の一般庶民なんだけど。


彼と私のお母さんが高校の同級生でお父さんとも面識があって、たまたま嫁いだ先の家が隣だったことから仲良くなったみたい。


自分の家から学校に通うとなると佐和田組の娘だとバレてしまうかもしれないから、まーくんの家を使わせてもらっている。


まぁ、実際のところ。この辺に住んでる者以外、あまり近付かないんだけど。



なぜかは…うん。

普通、用もないのに組の本家の近くに行きたくないよね…


怖い顔いっぱいだし、子供の教育に悪い…って言ったらだめかな。


でもね、そんなことないんだよ。

関わってみたら優しい人ばかりなの。


伝わればいいんだけどな…

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