恋はたい焼き戦争


「うわー、マジでコスプレじゃん」

「いらっしゃいませ。ご注文はお決まりですか?」

「じゃーメイドさんで!」

「…は?」

「ぎゃはは、それはダメだろ〜」





中には、完全にからかうような人もいて。





「ねーメイドらしくさ、おかえりなさいませって言ってよ」

「あの…」

「やらないんだー、まあいいけど。
じゃ、アイスコーヒーで」





要望にはきちんと対応しなきゃいけないのかもしれない。


…でも、この人たちはただ単にからかって楽しんでいるだけ。


そんな人の要望に応える気がどうしても起こらなかった。


だから、大人しく注文してくれたのは嬉しかったのだけど…





「ねえ、メイドさん。連絡先教えてよ」

「いや、申し訳ありませんが…」

「えーいいじゃん別に」





何度断ってもしつこく絡んできて、いい加減その対応も面倒になってきた頃。





「中、入っとけ」





厨房から、まーくんが颯爽と現れた。
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