恋はたい焼き戦争
「……」
次の日の朝、あかりは既に着席していた。
意を決する。深呼吸を1つする。
「〜!おはよう…っ」
出した声は震えていた。
あかりはバッとこっちを振り向いて、
「ぉ、おはょう…っ!」
同じように震えた、裏返った挨拶を返してくれた。
「…ふっ、あははは」
久しぶりに口を聞いたことに、目を合わせたことに、そして震えて裏返った声を聞いたことに、どちらからともなく笑った。
それは、久しぶりにあかりと心から笑い合えた瞬間だった。
「…あの時は本当にごめんね、鈴…」
「いいよ!
私こそ、矛盾なことしてたよね…ごめんね」
「鈴に嫉妬してたの…昴君と仲良さそうだったから。でも、私ね…」
そうして飛び出してきたのは、同じクラスの男の子の名前。
「文化祭の日、心配して家まで来てくれたの。その時に…」
告白を受けたらしい。
今はもうその子にしか興味はないようで、昴に対する想いも消えたんだとか。
嬉しいんだかなんなのか…複雑な気持ち。
ただまあ…昴、ご愁傷さまとしか言えないな。