恋はたい焼き戦争
ターニングポイント
私は中学生のころ、少しだけ精神が病んでいた。
自分が何なのか、どうすればいいのか分からなかった。
というのも、その時の佐和田組は今よりもっとピリピリしていて尖っていたから。
父方の祖父が亡くなってお父さんが3代目になったばかりの佐和田組は、他の組からなめられ度々奇襲されていた。
その頃はまだ数人程度だった子分たちとお父さんが、誰のかもわからない血を浴びて帰ってきてはまた家を後にする。
あくる日もあくる日もお父さんは戦場へと出向き、心も落ち着かないまま私も家を出る。
周りでは血にまみれた彼らの顔を見て
「醜い」
「近寄らないように」
そう口々に言うようになったし、私に対しては
「あそこの娘さんは可哀想ね。子供は親を選べないから残酷よね」
そう言うようになっていた。