恋はたい焼き戦争


そんなことがあった数日後。


学校で私を探している男の子がいるという話を人伝に聞いた。


まさか…と思って正門まで行くと案の定この前の男の子がそこにいた。


『あ、鈴さん!!やっと会えた…!』

『な、何でここにいるの…?』

『あの日着てた制服から学校を突き止めました!』


いやいや…そんな誇らしげに言わないで。


それもう、ストーカーのやることだからね?


『今日こそは僕に教えてください!強くなりたいんです!』


お願いします!と大声で頼まれ、徐々に周りが自分達を注目し始める。


いたたまれなくなって、結局彼を家に連れていくことになった。


『あの…本当にこの事は誰にも言ってほしくないんだけど…』

『え?あ、はい!』


不安げな私をよそに凄く嬉しそうな彼。


『あ、そういえば名前聞いてなかったね』

『そうでしたね、中学1年の風間かえでです!』


中学1年…本当に私の1つ下か。


『年1つしか変わらないし敬語じゃなくて良いよ?』


そう言うとかえで君は思いっきり顔を横に振って


『そんな!とんでもないです、タメ口なんて…!』


んー…

私としては敬語じゃない方が固くなくて良いんだけどなぁ…


『えっと…はい、着いたよ』

『あ、はい!お邪魔します』


一瞬、ん?という顔をするかえで君。


ここはまーくんの家で、表札には【高山 沢田】と書かれている。


もちろんフェイクのための沢田表記なんだけどね。


『ただいまですー』


ドアを開けて挨拶をするけど、あいにくまーくんのお母さんはいないようだった。


まぁ、好都合だったかな?


『えっとね。この家は…私の本当の家ではないの。
外に出るための通路みたいな感じで使わせてもらってるんだ』


多分、わかんないよね…普通じゃないもの。


『本当にこの事は秘密にしてね』


凄く不思議そうな顔で頷いている。


私はまーくんの部屋の隣にあるドアを開けて階段を降り地下通路を通って階段を上る。


『ただいま!』


大きな声で言うと


『お帰りなせぇー!お嬢!』


リュウと5人くらいでお出迎えしてくれた。

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