恋はたい焼き戦争
変革
久しぶりにからっと晴れたお出掛け日和。
最近全く着る機会のなかった私服を選ぶ。
ただ出掛けるだけ…そうは言ってもかえで君と昴がいる。
服選びにも力が入る。
スカートで女の子っぽさ?
ショートパンツで元気っぽさ?
ぐるぐると回り続ける自問自答を面倒だと思いながらも楽しんでいる自分がいた。
「お嬢、時間は大丈夫でやすか!?」
はっと時計を見るともう家を出る時間になっていた。
まーくん家のインターフォンの音がうっすらと聞こえる。
慌てて必要なものを鞄に入れて、少しヒールのある靴を持って地下廊下を渡り玄関で履いてドアを開ける。
満面の笑みで手を振るかえで君に私も手を振り返し
「ごめんね、洋服選ぶのに時間かかっちゃった!」
早歩きをしながら少し照れたように言うと
「白いスカート可愛いね!」
かえで君は更にふんわりと微笑んだ。
「前と服の感じが変わったね?」
かえで君はキャラクターが描かれた可愛い感じの服を良く着ているイメージだった。
でも今日はジーンズに半袖のTシャツ、ベストと何だかクールな感じ。
「ど、どうかな…変?」
おずおずと聞いてくる彼に、格好いいと思うよとグーサインを出すと
「良かったぁ…」
着ている服には似合わないくらい嬉しがり可愛らしく照れ笑った。
んー…やっぱり前の方が似合ってたんじゃないかな…
その言葉は嬉しそうにしている彼を目の前にして飲み込んだ。
そして私たちが電車に乗って目的の駅に着いても昴の姿は見当たらなかった。
『着いたよ、まだー?』
昴にそうメールを送って私たちは改札を出た。
人の邪魔にならないようなところで立って待つ。
『俺ももう着いてる』
辺りを見回すとサングラスをかけた、ブロンドの髪……
え、もしかして…
私がそう思っていると案の定サングラス男が近付いてきた。
「おはよう」
サングラスを頭に乗せて眩しそうにした。
いや…一体どこに行くつもりなの?
この辺ぶらぶら歩くだけだよね?
そんな私の心のうちを察したのか
「これくらい誰でもかけるだろ?」
そういう昴に私とかえで君は大きく首を振った。
昴は意外そうな顔をして頭に乗せていたサングラスを鞄にしまった。
「さあ、行こうぜ!」
楽しそうな彼のあとに続いて私たちも歩き始めた。