恋はたい焼き戦争


「そういえば、そんな服着るんだな?」





昴は私の服装を指差して言う。





「女の子でしょ?」





くるりと回るとスカートがふわっと風を受ける。





「風間もそんな格好するんだな。
てっきりキャラクター物とかそっち系かと思ってた」





少し笑いを含みながら言う昴をきっと睨み付けて





「お、俺だってこんな服くらい持ってんだよ!馬鹿にすんな!」





一気にヒートアップしてしまったかえで君を落ち着かせながら改めて昴の服装を見る。


…お洒落だ。


ボーダーのカットソーの上に黒いシャツを羽織って下は白いスキニーパンツ。

クラッチバックでとてもすっきりスマート。

おまけにサングラスだ(今はもうしていないが)


お金持ちでセンスもいいんだなぁ…と思い知らされる。





「何だよ、俺に見惚れたのか?」





にやにやしてこっちを見てくる。


それで、ずっと昴を見ていたことに気付いて慌てて目を離した。





「私服姿が珍しいなって思っただけだよ!」

「ふーーん?」





にやにやして、絶対に納得してない…


微妙な空気が流れていたとき大きなショッピングモールが現れた。





「鈴姉ちゃん!行こ!」





後ろにいたかえで君が急に私の腕を引っ張って走り出した。


全身に風を感じて顔だけ後ろを向くと、急に走り出したことに驚く昴が必死についてくる姿が見えた。


そ、そんなに走らなくてもショッピングモールは逃げないんだけどー!

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