恋はたい焼き戦争
「わぁー……すごい!!
こんなに広いんだね!」
最近オープンしたばかりのショッピングモール。
いろんなお店がところせましと並んでいる。
「ね、あそこのお店入ろうよ!」
「次はあっちに行こう?!」
私とかえで君はとにかくテンションが上がってしまって、ある店ある店全てを見て回った。
昴はそんな私たちに文句も言わず、でも後ろから見ているだけで加わろうともしなかった。
やっぱりつまらないのかな…?
そう思ってはいるものの、この行動は止めることが出来なかった。
かえで君もすごく楽しそうだし…昴には後で何か奢ってあげるとしよう。
「鈴姉ちゃん!見て!!
似合ってるかな!?」
そう言ってかえで君が体に当てているのはキャラクターが描かれたオーバーオール。
「見て見て!
すごい可愛いよ!」
次に見せてくるのも動物がモチーフの可愛らしいタオル。
やっぱりかえで君にはそういうのが合ってるなぁ…
そんなことを思いながら彼の方を見ていると
「やっぱりキャラクター物が好きなんだな」
昴がぽそっと呟く。
かえで君はその言葉を聞き漏らさなかったのか、そこから黙りこんでしまった。
…3人の間に沈黙が流れる。