Drinking Dance
「す、すみません…」

ペコペコと周りに小さく謝った後、私たちは何事もなかったかのように止まっていた昼食を続けた。

「先ほど森脇さんも言った通り、僕は彼女に2股をかけられたみたいですね」

スープをすすった後、星崎さんが話の続きを切り出した。

私は食べかけの牛カルビ弁当をテーブルのうえに置くと、
「星崎さん、このことを石原さんに問いただした方がいいと思いますよ。

証拠はそろっている訳ですから」

星崎さんに言った。

「証拠と言っても目撃証言だけでしょう。

そんなことを話に出したとしても、人違いだと言って笑われてしまうのが目に見えています」

星崎さんはクイッと人差し指で眼鏡をずりあげた。
< 105 / 141 >

この作品をシェア

pagetop