Drinking Dance
「こうして相手の温度を感じるのはもちろんのこと、何だか心まで近くなったような気がします。

名前もそうですけど、距離がさらに近くなって相手が身近にいるのを感じます」

星崎さんはそう言って得意気に繋いでいる手をあげて見せた。

さっきまでの戸惑った反応は一体どこに行ってしまったのだろう?

今の星崎さんはとても嬉しそうだ。

「手の距離が近ければ近いほど…何て言うんでしょう?

相手の気持ちが読みとれそうな気がします」

じゃあ、私の気持ちも読みとってよ。

口から出そうになった自分の思いを慌てて止めた。

「気持ちまでは読みとれないと思いますよ。

超能力者じゃないんですから」

そう言った私に、
「そうでしたね」

星崎さんはエヘヘと笑った。
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