Drinking Dance
お互いを繋いでいる手は恋人繋ぎだけど、私たちは恋人同士じゃない。

上司と部下で、仲のいい友達なのだ。

入社した当時は星崎さんが私の指導係だったけれど、今では私が星崎さんの指導係である。

そのうえ、星崎さんには恋人がいる。

「あっ、駅に到着しましたよ」

星崎さんに言われて視線を向けると、駅の切符売り場が視界に入った。

ああ、ついてしまったのか…。

長い距離だったはずなのに、あっと言う間についてしまった。

仕方ないか、最寄りの駅までなんだから。

駅の前につくと、
「じゃあ、離しますね」

そう言って繋いでいる手を離そうとした。
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