Drinking Dance
心臓がドキドキと、うるさいくらいに鳴っている。

さっきも緊張していたと言えばしていたけれど、今の方がもっと緊張している。

星崎さんに伝わっていないよね?

騒々しいくらいに動いているこの心臓の音が彼の耳に入っていないことを祈りたい。

眼鏡越しの瞳が私を見つめている。

その瞳を見つめていることが恥ずかしくなって、私は目を閉じた。

これ以上彼の瞳を見てしまったら、自分の気持ちを言ってしまいそうだ。

あなたが好きだって、伝えてしまいそうだ。

「――ッ…」

そっと、まるで壊れ物を扱うように丁寧に彼の唇に自分の唇を重ねた。

キスなんて、ほとんど初めてだからできる訳ないじゃない。

できたとしてもこれが限界だ。
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