恋のシャッター
勇斗も…きっと、ずっと、辛くて、悲しくて、淋しい気持ち抱えてたと思う。
けど、あの泣いてた姿以来、私は勇斗の辛そうな所を見ていない。
五年たっても…私は今でも思い出す。
勇斗も思い出して辛くなる時とかあるのかな…。
「高菜?」
「あっ…はいっ」
「とりあえずこれ、顧問の所に持ってって見るから」
「はい、分かりました…よろしくお願いします」
南先輩は写真を持って、部室を出て行った。
私も他の写真を片付けると、久々に早めに学校を後にした。
撮りためた写真は、私の部屋にいつも置きっぱなしだ。
アルバムに閉じる事も、部屋に飾る事もない。
相変わらず飾ってあるのは…拓真と二人の写真だけ。
他のを飾りたくないわけじゃないけど、気がつくといつもこんな感じだ。
拓真との写真に向かって私はつぶやいた。
「拓真……あの日言った拓真の言葉の意味が、私にはまだ分からないよ…」
拓真が私に言った言葉。
それは、拓真が亡くなる数日前の病室での事だった―。