恋のシャッター
「とりあえず今こう言っておけば、この先二人はきっと仲良くなるよ?」
「え~?ならないよ―」
「大丈夫……きっとなるよ?」
「…拓真…」
その時言った拓真の言葉の意味が、11歳の私にはまだ分からなかった。
「中学に入ってバスケしたら勇斗のヤツ、今よりモテるだろうなぁ~」
「えー?拓真程じゃないよ」
「きっと、今よりカッコ良くなるだろうなぁ」
「そうかなぁ―…」
私は勇斗の事だし、少しどうでもよさそうに聞いていた。
「楽しみだねっ、実夕?」
「も~う拓真は勇斗の事ばっかり~」
「そんな事ないよ?実夕の事も楽しみだよ?でも…二人を別々に考える事は出来ないよ俺は…」
「えーそんなもん…?」
「そんなもんだよっ」
拓真はそう言って私を見て笑ったんだ…。
それが拓真の最後の笑顔だったなんて、とても……誰も気づけなかった。