元カノがめんどくさい
「なにニヤついてんの?」


「えっ…
いやなんか、いろいろ思い出して…」


「…気持ちわるっ」


あの…
僕の幸せな余韻を返して下さい。




だけど現実。


あの頃の場所には、こうなふうにいつだって戻れるのに…
あの頃の時間には、当たり前にどうやったって戻れなくて。

幸せな思い出は時として牙をむくから…
笑い飛ばしでもしなきゃやり切れない。


なんて切なくなりながら、遠ざかる楠を見送った。






「あ、ねぇこのゼミ室。
ここで蓮斗が告って来たんだよね〜」


「いや、先に告って来たのはキミだよね…」

なんでキミの都合がいいように記憶が塗り替えられてるわけ?


「そーだっけ?」

なんて、笑い飛ばしたかと思ったら…



「ねぇ、蓮斗。

私、蓮斗の事が…


好きみたい」



突然の再現に、心臓が止まる。



瞬間、その時の嬉しすぎてテンパってた気持ちが甦ると同時。

僕を見つめるキミの目は、どこか思いつめてるようで…

胸がものすごい力で締め付けられて動揺する。


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