元カノがめんどくさい
「…じゃあね、蓮斗。
奈々ちゃんの事、大事にしなよ?」


「うん…
キミも、遥さんと仲良くね」


ニコリと頷いたキミは、ためらいもせずに車から降りて…

目の前のアパートに向かって歩き出す。



僕は、その後ろ姿をただ見つめた。


見送るように見つめた。


見守るように見つめ続けた。


そして、記憶に焼き付けるように見つめて…


念じるように見つめ…

かけたその時。



キミが振り向いて。

ドキリ、と心臓が跳ね上がる。




「蓮斗ぉっ!

っ…、今までありがとうっ…!」


今にも泣きそうな笑顔でそうゆうから…

僕まで目頭が熱くなって、何かが込み上げて来て。



「んっ…、幸せに……」

そんな言葉しか返せなかった。




キミが見えなくなって、ぽっかり空いたような空間を前に…

僕の心まで、ぽっかり穴が空いたような気がした。





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