元カノがめんどくさい
「いいえ、こちらこそですっ…
私だって、蓮斗さんの優しさには沢山救われて来ました。
なので、少しでも恩返し出来て良かったです。

ほらっ、善は急げですよっ?
私も前に向かって頑張るので。
蓮斗さんも、頑張って下さいねっ」


まったく奈々は…

最後まで本当に、どこまでも天使で。


僕の気持ちに気づいてたくせに、いつも優しく寄り添ってくれて。

僕はそんな奈々を守るどころか、何ひとつしてあげられなかったのに。


挙句、恩返しだなんて…

傷付いてるはずの奈々が、傷付けた僕を応援してくれるなんて…!




そんな天使の、去って行く車を…

込み上げる謝意で、胸を詰まらせながら見送った。



奈々の優しさを無駄にしないためにも…
最後の最後まで、諦めずに頑張るよ。



さっそく僕は、逸る気持ちに押されながら電話を手にした。

だけど掛けた相手は仕事中なのか、繋がらない。


こうしてる間にも、アディショナルタイムは減ってるワケで…

僕はすぐさま、元カノが働くスポーツ用品店に向かって車を走らせた。


< 94 / 114 >

この作品をシェア

pagetop