元カノがめんどくさい
はあぁ、と深いため息を吐き出したのと同時。

階段から現れたその人と、バチっと目が合う。


「え、本っ…」

心臓をドキリとさせて、その名前を口にしかけた途端。


踵を返して逃げだす彼女。


え、ええっ!?

なんでそーなるワケ?
いや、意味がわからないんだけど!

なんて思いながらも、とりあえず追いかけるしかない。



「ちょっと待ってよ!
なんで逃げるのっ!?」


「だって!
蓮斗が追っかけて来るからっ!」


いや、追っかける前から逃げてたよねぇ!

ああもっ…
キミってほんとに、どこまでもめんどくさい!



だけど実は。

そのめんどくさい所が、ほっとけなくて可愛くて…


楽しくて!




それに本当は…

めんどくさいのは僕なんだ。



キミの声が聞きたかったから、どんな深夜でも電話を掛け直してたし。

キミに会えるのならと、どんな時でも駆け付けた。

キミに頼られたくて、どんな話でも真剣に聞いたし。


だけどあまりにも脈ナシで、諦めて忘れようと他の恋を受け入れた。


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