劇団「自作自演」





「言い訳は嫌いだ。しかし、釈明はしなきゃならねえ。香澄さん。アンタは確か5分後にこの教室に入ってきた。そうだよなあ?」



「まあ、正確には4分ね。」私も敦くんの横に座った。



「だったら尚更だ。香澄さん。アンタはたった4分であの惨状を全く無かったことに、つまりは無機物に変換できると思うか?」



「不可能。500%言える。」



敦くんは顔を上げた。突然のことで、私たちはキスができそうなほど、顔が近づいた。



「そうさ! ンなことは不可能だ。仮に出来たとしても、クラスの反応を見ればわかるだろ? オレが教室に着いた頃には、既に20人近くはあの場にいた。目にするはずなんだ。しかし、ヤツらの行動、言動には、何一つ変化は見られない。」



「安心して? 別に敦くんのことを疑ってるわけじゃないから。私もそこまでバカじゃない。」



敦くんは、舌打ちをした。この舌打ちは、安堵から来るもので、素直じゃない敦くんの性格の現れだ。




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