劇団「自作自演」





「さて、坂本さん。」青山くんはネクタイを整えながら私に向き直った。



「キミはなぜ僕がこんなことをしたのかについて訊いているんだよね? そう解釈していいんだよね?」



「ええ。」



「じゃあ、逆に訊こう。キミ……いや、キミたちはどうして平和を嫌う?」



「……つまんないから。」素直に答えた。



「飛行機がビルに突っ込んだり、赤ん坊が遺棄されたり、殺傷事件が起きたりすることで、人は感情を剥き出しにする。感情的になるのは、いかにも人間らしいし、人間らしく生きられるためのツールとして、そういう不条理なことも必要じゃない? いじめだってそう。だから、この平和を壊したかった。それも自分たちの手で。」



青山くんはうんうんと頷きながら聞いた。



「そんなことだろうと思ったよ。」とでも言いそうな顔をしていた。




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