劇団「自作自演」
さっきも言った通り、私は帰宅部だ。
別段、珍しいことではない。進学校ということもあり、勉強のみに打ち込む生徒は多かった。
私は勉強に打ち込むという理由で帰宅部を選んだわけじゃない。ただ、単純に「やりたいことがなかった。」それだけの理由。
運動は嫌い。ちまちま小説を書いたり、絵を描いたり、筆に墨を含ませて半紙の前でじっと何かを考えるのなんて以ての外。
そんな無駄な浪費をするくらいなら、家に帰ってマンガでも読むか、昼寝をしている方がいい。
息の詰まる教室から解放されて、制服を着たままベッドに寝っ転がる良さを知っているJKは、おそらく私だけなんじゃないかと思う。
だから、私は帰る。ずり落ちてくる学校指定のカバンを気にしながら、廊下を歩き、昇降口までの階段を一段飛ばしで降りていく。