劇団「自作自演」
「キミがそう願うなら、僕はキミの駒になろう。」
私の考えが読まれたのか? 少し驚いたが、逆にいい。
それくらい勘が良い方が優秀だ。
敦くんは、ホッと胸を撫で下ろしたように、アスファルトに寝転がった。
「ヒヤヒヤしたぜ。」しかし、目は笑っている。
こんな危ない状況になりながらもどこかスリルを楽しんでいる敦くんの方が恐ろしい。
敦くんは、ひょっとして、気付いていたんじゃないだろうか?
こうなることを……いやいや、有り得ない。
でも、私にキスをしたこと、私とキスをしたとそれとなく打ち明けたこと、そして、黙らせるために私にキスをさせたことでさえも、敦くんの計算だったとしたら?
いやいや、有り得ない。
でも、「たいせつなものは、目には見えない」。