劇団「自作自演」





「坂本さん。キミが誰かに『屋上へ来るように。』と言われて、何を思い浮かべる?」



「そりゃ、『告白されるのかな?』って思う。」



「そうだね。屋上は告白の場所だという固定概念がこの学校の生徒にあるから当然、坂本さんの思い浮かべる通り、みんなもそう思い浮かべる。呼び出す側だってそうさ。屋上は告白をする場所だという固定概念があるから、もし告白ではない何かしらの用事があって、呼び出さなければならない時は、屋上以外の場所を使う。」



「確かに。」私は頷いた。



「つまり、呼び出されてそれについて行くような人は、十中八九、その告白を受けるために行くわけさ。逆に、告白を受けたくないと思ったなら、そもそも屋上へなんて行かないで、やんわりとその場で断るはず。」



青山くんの考えは、学校に根強く残っているジンクスを大きく覆すものだった。



「確かに。確かにそうだね。告白をされるってわかって、屋上へ行くような人は、告白を受けに行くようなもの。つまり、その人のことが好きだってことになる。だから、屋上で告白をすれば、その恋は成就するなんてジンクスは当たり前の事象に過ぎないってわけね?」



「そうさ。だから、バカげている。」そう言って青山くんは、「話を元に戻していいかな?」と断って、続けた。




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