劇団「自作自演」
ちょうどその時、敦くんが喫茶店に入ってきた。
「やあ、親友! お邪魔させてもらってるよ。」
青山くんは、手を振り、敦くんはばつの悪そうな顔を浮かべた。
「そういえば、坂本さん。キミからの質問の答えがまだだったね。」
「ンだよ? 質問って。」敦くんは青山くんの横にドカッと座った。
「別に、親友。ただ、同じ劇団員なら話しておいてもいいんじゃないかなって思っただけさ。ただ、この劇団は、お互いがお互いを信頼し過ぎると危ない。常に疑っていなきゃいけない。それはわかっている。」
「信頼」というワードで、青山くんは、やっぱり私たちの会話を盗聴していたんだということが改めてわかった。
「でも、だからと言って僕と親友の馴れ初めをひた隠しにする必要もないだろう?」
「馴れ初め?」
「ひけらかす必要もねえけどな。」敦くんはコーヒーを注文した。