劇団「自作自演」
僕はここで自分が少し酔い過ぎていることに気付いた。
彼女の言葉の意味が理解できなかったのだ。
「なんだって? 今、なんて言ったんだい?」
「どっちでも……いいえ、どうでもよかったの。例えば、学校の給食の主食がパンの日もあれば、ご飯の日もあるでしょ? それと同じ感じ。どっちも別段、好きじゃないけど、嫌いでもない。給食を食べるという行為さえ楽しければ、主食は、パンだろうがご飯だろうがどっちでもいいじゃない?」
ここで、僕は酔っていないことに気付いた。聞き間違えなどではなかったのだ。
今でもはっきりと覚えている。あの日言った彼女のセリフを一字一句間違えていない自信もある。
そして、彼氏である僕の前でそんなことが平気で言える彼女が恐ろしく感じた。
いつか彼女は、僕の前から居なくなる。
でも、「フォーエバー・ラブ」なんて存在しないわけだから、彼女の言う、「今が楽しければそれでいい。」という考えは冷静で賢明なのかもしれない。