劇団「自作自演」
「それを繰り返す。そして、機が熟した時、香澄さん。アンタが思いっきり机を蹴り飛ばすか、大声を張り上げるかしろ。そして、カッターを出す。」
カ、カッター?
「まさか、青山くんの話で参考にするところってそこ?」
「そうだ、香澄さん。アンタは、そのカッターでオレを刺せ。もちろん、本当に殺すつもりで刺すわけじゃない。オレの懐には血ノリの入ったビニール袋を仕込む。それを香澄さんがカッターで刺せばいい。」
「見極めるのが……大丈夫かな?」
私は本当に刺してしまいそうで、少し不安になった。
「まあ、いざとなったら、オレが血ノリの入った箇所をアンタの構えたカッターに上手く当たるように調整してやる。それとなくな。それでミスしたらオレのせいだ。香澄さん。アンタは何も気に病むことはない。」
そう言われると、ますます気に病むタイプなんだけど、そんなことは敦くんは知る由もないのだろう。
「これでどうだ? 親友様よお。」
「悪くないよ、親友。完璧だ。きっと上手くいく。」
青山くんのお墨付きをもらい、敦くんは「そりゃどうも。」と冷たく呟いた。