劇団「自作自演」





窓もカーテンも締め切ってあって、空気がどんよりとしていた。



生温い、湿っぽい空気漂うこんな部屋にずっといると、気に病んでしまいそうだ。



自殺したくなる。例えここで、北條さんの好きなジョージ・シアリングや、敦くんの好きなチェット・ベイカーが流れていたとしても。



「そういえば、敦くんにしろ、北條さんにしろ、どうしてジャズなんて渋い音楽が好きなの?」



私は小さなキッチンで、これまた小さなコンロで、やかんに火をかけている敦くんの背中に訊いた。



「オレは別に好きじゃねえ。ただ、店で流れてるから詳しいだけだ。北條のヤツは知らねえ。富裕層の両親が飯ン時に流してたりするんじゃねえか?」



なんかバラのような言葉だと思った。



まるで、富裕層、お金持ちの人たちに対して嫉妬しているような。自分の今の境遇に対して、ぶつけようのない怒りを無理矢理ぶつけているような。



そんなトゲのあるバラのような言葉に聞こえた。




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