劇団「自作自演」
敦くんは、湯呑みにお茶を淹れてくれた。
何ていうお茶かは知らない。別段美味しくも不味くもない、いわゆる粗茶というヤツ。
唯一特徴を挙げるとするなら、少し熱すぎた。セーターの袖を伸ばしてじゃないと、湯呑みが持てない。
にも関わらず、敦くんは平気でそれを呑んでいる。
「熱くないの?」
「熱い?」私は首を振った。
「無理しねえでいいよ。お茶淹れるの久しぶりだし。」
「無理なんかしてないよ。」
「いいや、してる。」敦くんはハッキリ断定した。
「熱いと思ってねえと、『熱い?』なんて訊かねえよ。」
それもそうだ。私はお茶を音を立てて啜った。