劇団「自作自演」
「それで、お前は具体的にどうしたいと思う?」
「クラスをぶっ壊したい。」
「具体的にって言ったろ?」野崎くんは呆れたように言った。
「例えば……えっと、何があったっけ? 項目。」
私はルーズリーフを取り出して、野崎くんに渡した。野崎くんは、胸ポケットに挿していたボールペンを手に取り、キャップを口で咥えて外した。
「まず、『不登校の生徒が一人はいるクラス』だが……。」
「必然的に実現不可能だと思う。仮に私たちが不登校になったところで、クラス全体としては、変わるかもしれないけど、その変化を高みで見物できないのは、結局つまんないもん。」
野崎くんは、その項目に線を引いて消した。
「『先生が私たちに背を向けた瞬間に、物が飛んでくるようなクラス』ってのはどういう意味だ?」
「これも無理。先生が黒板に何か文字を書いてるときに、私たちが物を投げるって意味だけど、それをクラス全員に促すことはできない。」
野崎くんはこれにも線を引き、ついでに、
『黒板に大きく✕印を書いて、「諸事情により全員欠席します」と書いてあるようなクラス』
『見栄っ張りだけのために作られた校則を平気で破るようなクラス』
の2項目も同じ理由で線を引いた。