劇団「自作自演」





そして、学校の屋上で夜を明かし、登校時間を迎えた。



青山くん、私、敦くんの順で教室へ入ることになった。



青山くんがまず、教室へ向った。



「いよいよ始まるんだね。」



私はアスファルトの上で寝転んでいる敦くんに言った。



「ああ、始まる。そして、クラスは揺れる。壊れる。平和ボケしてるアイツらに警鐘を鳴らすんだ。『社会に出たらもっと理不尽な出来事が待ってる。』ってな。」



「社会を知らない私たちが、社会のことを教えるの?」



「社会を知ってるヤツなんていねえよ。ジャズと同じだ。雰囲気の中で何となく揉まれて、染まっていってるだけだ。」



敦くんは、幾ら何でも他人を毛嫌いし過ぎだ。



まあ、あんな境遇にあったら、そう思うものなのかもしれない。どういう経緯で一人暮らしをすることになったのか。それについては、知らないけれど、知る必要もない。



知らない方が良いこともたくさん、この世の中にはある。




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