劇団「自作自演」





私はこの日も敦くんのアパートに泊まった。



「いいか? 右に刺すからな。」



私は血ノリを受け取った。カッターは敦くんの家にはなく、晩御飯とついでにコンビニへ買ってきたものを使うことにした。



「私が刺そうとするけど、揉みあって、私はカッターを離せばいいんだよね?」



「ああ。なるべくその場に落とすか、オレと揉み合いになって、奪い取られる形でもいい。あとは、焦らしつつ、青山の表情をじっくり見て楽しむ。しかし、始業のチャイムが鳴る前にカタをつけなきゃならねえ。」



本当はもう一人、村人Aの北條すみれという役者もいるんだけど、それは敦くんには黙っておくことにした。




< 271 / 307 >

この作品をシェア

pagetop