劇団「自作自演」





選手宣誓に似た意気込みをして、生憎の曇天の中、学校指定のカバンを引っ提げて、いかにもダルそうな演技で下駄箱へ向かった。



上履きの中には懲りもせず画鋲が入っていて、それを床にわざとらしく、パラパラとばら蒔いた。



画鋲は、パラパラと音を立てて落ちて行く。



これが本当のいじめだとしたら、とても綺麗で儚い涙。



こういうものを綺麗だと思える心を大事にしたいと私は思った。




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