劇団「自作自演」





「最高……。最高だよ、アンタらのその顔。今、私が怖いんだろ? 本当の私を、本当の坂本香澄を知って驚き慄いてんだろ? 見くびってんじゃねえぞ! 私は今までアンタらの執拗にダセェいじめに付き合ってやってたんだよ。いじめられる演技をしてただけなんだよ。その度に何度笑いそうになったことか。何度脇腹つねって笑いを堪えたことか……。でも、もういい。もういいよ、アンタら。私は飽きました。もう飽きました……。」



そして、カッターを取り出す。



キリッ、



キリッ、



キリッ、



キリッ、



刃が蛍光灯に照らされて、光る。



微かな悲鳴が上がる。




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