劇団「自作自演」





「ねえ、野崎くん! おはよう!」



敦くんを囲むグループが会話を中断し、その視線が私に集まった。



向けられている目には濁りはない。当然だ。このクラスは男女共に仲が良いんだから。



「なんだ、坂本かあ。おはよう!」と誰かが言った。それを皮切りに他のみんなも透き通ったミネラルウォーターみたいな目で「おはよう!」と声をかけてきた。



張本人、敦くんはと言うと……。



「ハア。」



ため息一つして、ロッカーから降りて、私にしゃがれた声でこう言い放った。




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