劇団「自作自演」





敦くんは、昨日の放課後、私にこう話した。



「いいか? いじめは急には起こらない。何かしらのきっかけが必要だ。」



「その通りね。」と私は答えた。



「しかし、受刑者の心にインパクトは残さなきゃいけない。」



「シコリのようなもの。」私はそう付け加えた。



「そう。シコリ。そして、それは同時にターゲットを示すことにもなる。どうだ? 自分で言うのもおこがましいけど、オレみたいな人気者がお前をいじめるとどうなる? 周りはどう出ると思う?」



「おそらく、敦くんに付くだろうね。」



「そうだ。大半がそうなる。決まってるさ。誰しも平穏を望んでいるんだ。自分さえ良ければそれでいいんだ。人間の心理なんて結局いつもそうさ。小さな子供が殺害された事件のニュースを見て、心を傷めるヤツ、心を傷めるフリをするヤツはいるが、結局そんなことはその晩、風呂に入る頃には忘れてる。」



「他人事だもんね。」



そして、敦くんは、切り出す。




< 39 / 307 >

この作品をシェア

pagetop