劇団「自作自演」
「でも、まああれでいい。」敦くんは、上体を起こした。
「あれでいい。とりあえずインパクトは残ったはずだ。」
「でも、クラスはクラスのままだよ?」
「そりゃそうさ。敵は鉄壁要塞。大砲一発放ったところで、応戦ってなことにはならねえ。」
「傷も付いてないかな?」
「おそらくな。でも、大砲を放った。その事実は揺らがねえ。開戦はしてるんだ。」
「戦争に喩えるのやめない?」私は敦くんの横に腰掛けた。
「劇団でしょ? 私たち。」
「じゃあ、幕開けか? それとも初日か? どれにしろ同じことだろ?」