劇団「自作自演」





結局のところ、やはり私はインパクトのあるシコリを残せたわけだ。



そして、敦くんが上手い具合に地雷を撒いてくれた。



少なくとも敦くんのイツメンには、浸透しつつある。



「野崎敦は、坂本香澄のことが嫌いだ。」ということが。



「これからも徐々に続けていくつもりだ。まずは身近にあるものから片付けていく。部屋の掃除のように。」



「つまり、敦くんのイツメン発信で、私へのいじめがスタートするってわけね?」



「そう。だから香澄さん。アンタは、オレに絡んで来い。今朝みたく『おはよう!』は毎日継続。それから、休み時間も必要以上に話しかけろ。」



「でもそれだと、敦くんが孤立することになるんじゃないかな?」



「結果的にそうなれば、香澄さんはいじめられっ子降板。代役としてオレがやればいい。しかし、だ。自分で言うのも烏滸がましいが、オレは人気者だ。知らねえ下級生からLINEを訊かれることも稀じゃねえ。この意味、わかるな?」



わかる。




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