劇団「自作自演」
「ああ、なるほど、なるほど。」
敦くんは頭が良い。いや、私の考えがベタなのか……。
たったこの一言で私の計画のすべてを理解してくれた。
「黒板に書くんだろ? 『坂本香澄死ね!』とか『坂本マジ消えろ!』とか。そして、登校してきた生徒の反応を伺う。担任も無下にはできない。考えたな、香澄さん。」
「そういうこと。でもちょっと、ベタ過ぎないかな?」
「ベタが必ずしも悪いとはオレは思わねえ。『王道』って表現すりゃいいんだ。『王への道』、『王になる者のみが通れる道』。つまり、賢いってことさ。」
「モノは捉え様ね。」
「ただ、その『王道』は平坦じゃない。茨の道。険しい。険しいさ、香澄さん。なあ、そうだろ?」
そう。これをするには、用務員さんが教室のカギを閉めた後、決行しなければならない。