劇団「自作自演」





「やっぱり敦くんには敵わないなあ。」



私は敦くんの横に膝を抱えるようにして座って、スマホを開いた。



「今日は友達の家に泊まるから、ご飯いらない。」



母さんにLINEを打ちながら、秋風が私の黒髪を撫で付けるように吹いた。



敦くんはそんな私の長い黒髪を細い右手で時折触った。



これも秋風同様、撫で付けるように。




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