劇団「自作自演」
「ミッドナイト・アーティスティック・クール!」
「夜の学校にいるとさあ、なんか、万引きをする時のような気持ちにならねえか?」
敦くんは、月明かりに照らされた綺麗な横顔を私に見せつけるような格好で訊いた。
「ソワソワすんだよ、香澄さん。悪ぃことするのはいつだってそうさ。タバコを吸うのだってそう。酒を買うのだってそうさ。ルールを破る醍醐味みたいなもんだよなあ。」
「敦くん、タバコ吸うの?」
「吸わねえ。」しかし、少し間を置いて。
「……ただ、吸ったことはある。喉を焼きたかったんだ。どっかのロックミュージシャンが、ウィスキーとタバコで喉を焼いたって話をしててさ。まあ、お陰でこの通り。それからは吸ってねえし、呑んでもいねえ。」